
薬機法に関する文章の添削をしていると、このようなご相談を受けることがあります。
「薬機法がクリアしていれば、あとはちょっとくらいオーバーに言っても問題ないですよね?」
「これは化粧品じゃないから、これくらいの表現OKですよね?」
私たちライターが執筆する文章の多くは、特定の商品を販売したり、特定のサイトへユーザーを誘致したり、何等かの集客が目的となっています。
人を集めるためには、目立つ文章や他社と差別化した表現を使いたくなるのは当然です。
しかし、薬機法さえクリアしていればどんな表現をしてもいいとはいえません。
広告文などの文章を作成するうえで薬機法と同じくらい注意しなければいけないのが「景品表示法」です。
薬機法が化粧品や医薬部外品など特定の商品を対象としているのに対して、景品表示法は全商品・サービスを対象としているという意味では、こちらの法律のほうがメジャーであり、全事業者が意識しなければいけない法律といえるでしょう。
景品表示法は簡単にいうと、「おおげさな表現やウソをついて、消費者をだましてはいけませんよ」という法律です。
この景品表示法には大きく分けて3つの種類があります。
・優良誤認表示
・有利誤認表示
・その他、誤認される恐れのある表示
具体的な事例を用いて説明します。
ケース①
実際はアルコール度数10%のハンドジェルを、アルコール度数50%と表示して販売した。
⇒この場合、景品表示法の「優良誤認表示」として規制の対象になります。
優良誤認表示とは、実際のものより品質や規格が優れているかのように見せることです。
アルコール度数10%にもかかわらず、50%と表示するのは明らかな「ウソ」であり、景品表示法に抵触しています。
ケース②
「通常価格3,000円のところ、いまなら50%OFFの1,500円」と表示して商品を販売した。
しかし、実際には3,000円で販売した実績はなかった。
⇒これは、景品表示法の「有利誤認表示」として規制の対象になります。
お得感を見せるためには、「○%OFF」という表示は非常に効果的であり、実際こういった表示はよく見かけます。
しかし注意が必要なのが、「通常価格」の部分です。通常価格として表示する場合は、以下の要件を確認する必要があります。
1. 過去8週間のうち、4週間以上の販売実績があれば、過去の販売価格として表示することができる
2. 販売開始から8週間未満の場合、販売期間の過半かつ2週間以上の販売実績があれば、過去の販売価格として表示することができる
3. 上記(1)や(2)を満たす場合であっても、実際に販売した最後の日から2週間以上経過している場合には、過去の販売価格として表示することは原則としてできない
4. 販売期間が2週間未満のときは、過去の販売価格として表示することは、原則としてできない
意外とこういったルールを知らずに、安易に表示を行っている方はいらっしゃるのではないでしょうか?
もし景品表示法に違反する行為が見つかれば、措置命令と課徴金納付命令が行われる可能性があるため注意しましょう。
課徴金は対象期間の総売上の3%です。
もちろん売上が高くなればなるほど、経済的に受けるダメージは大きくなります。