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「殺菌」「消毒」と標榜できるのは一部の製品のみ 粗悪品に騙されないための視点

消毒液のパッケージ

韓国製の消毒ジェルがアルコール度数を大幅に偽装していたという衝撃のニュースをご存知でしょうか。

 

化粧品や健康食品の輸入販売などを手掛けるメイフラワー社(東京都・千代田区)が輸入し、2020年3月から販売している「ハンドクリーンジェル300ml」。 新型コロナウイルス対策としては70%以上のアルコール濃度が有効だといわれているなか、今回問題となったハンドジェルのラベルには「アルコール71%配合」の表記があり、新型コロナウイルスの予防として効果があると思った消費者も多いはず。しかし、購入者からの指摘により調査したところ、実際の濃度は5%程度だったというのです。

 

この事態を受け、メイフラワー社は行政処分を受けました。そして、輸入元のメイフラワー社と同製品を取り扱っている萬祥社(東京都・台東区)が公式サイトで謝罪しました。 

 

なぜこのような事態になったのか? メイフラワー社によると、同製品は韓国の企業から輸入したもので、化粧品として製造販売登録を行っていたそうです。製造販売登録に際しては、韓国企業から全成分表と化学物質等安全データシート(SDS(Safety Data Sheet))の提示を受けており、71%のアルコールが含まれていることを確認していたとのこと。しかし、購入者からの指摘により日本国内の分析試験所にて調査したところ、実際のアルコール濃度は5~30%ほどしかなかったというのです。

 

こうした不当表示は社会問題化しています。このような問題を規制する法律としては、景品表示法や不正競争防止法などがあります。今回の件も、消費者庁は消費者に著しい誤解を与える恐れがあるとして、メイフラワー社に対して景品表示法に基づき、再発防止を求める行政処分を行いました。

 

メイフラワー社と萬祥社は製品回収により損害を受けただけではなく、ブランドイメージを損なうという大きなダメージも受けたことになります。


雑貨・一般化粧品で特定のウイルス名を出すことはできない

今回のようなことは残念ながら珍しいことではありません。すべてが悪意のもととはいいませんが、消費者の欲求に漬け込むかのような広告や販売をしている企業、製品は後を絶ちません。現在はとくに新型コロナウイルス拡大を受け、多くの国民が混乱の渦中にいます。そんな消費者に誤った情報流したり、煽ったりという行為は到底許されるべきではありません。

 

街中のドラッグストアやネットショップなどで、こんな表記を目にしたことはありませんか?

 「コロナに効果あり!消毒ハンドジェル アルコール70%」 

もしその製品が一般化粧品もしくは雑貨扱いだった場合、上記の広告には3つのNGがあります。 

1.特定の菌名やウイルス名を出してはいけない

雑貨や一般化粧品が一般的な菌やウイルスの除去(除菌・抗菌)を標榜することは問題ありません。除菌というのは、対象物や限られた空間に含まれる微生物の数を減らし、清浄度を高めることをいいます。洗剤や石けんを使うことにより、物理的に細菌の数を減少させることは可能ですし、それがきちんとした根拠に基づいていれば問題はありません。ただし、特定の菌名やウイルス名を示すことはできないのです。つまり、「新型コロナウイルス」や「インフルエンザウイルス」等の表記はNGです(医薬品・医薬部外品にのみ認められています)。 

2.「殺菌」「消毒」を標榜してはいけない

雑貨や一般化粧品が「除菌」や「抗菌」を謳うことは可能とお伝えしましたが、「殺菌」や「消毒」を標榜することはできません。言葉の使い分けがむずかしいため、曖昧なまま使用している人をたまに見かけますが、「殺菌」や「消毒」という表記は「医薬品」や「医薬部外品」のみに使用できる文言です。 

 

以上の理由により、もし一般化粧品や雑貨扱いの製品が「コロナに効果あり!消毒ジェル」のような標榜をしていた場合、薬機法などに関する正しい知識を持ち合わせていない者が取り扱っている粗悪品の可能性があります。

3.アルコール濃度をパッケージに記載してはいけない

「〇%」といった数字のインパクトは大きく、購買意欲をかきたてられます。しかし、化粧品登録の商品においてパッケージにアルコール濃度を表記するのは違反です。%表記は効果効能をイメージさせるためです。

 

また、もしその商品が一般化粧品にも該当しない「雑貨」扱いだった場合、「ハンドジェル」という表現もNGです。

薬機法における「雑貨」とは、化粧品でも薬用化粧品でもないものということになり、顔や肌、体に使うものではないという扱いだからです。そのため、商品名に「ハンド」という言葉を使うのはもちろんNGですが、説明書きなどに肌や体に使用することを連想させるような文言やイラストを用いるのも薬機法違反になります。


他にもあった除菌製品に関する行政指導

メイフラワー社の件とは別で、5月15日にも景品表示法違反の恐れがあるとして、5社が行政指導を受けるということがありました。

 

それは、二酸化塩素を利用した携帯型の空間除菌剤について、「身につけるだけでウイルスを除去」「携帯することで、オフィスや会議室などで除菌・消臭できます」とまるで様々な環境において商品を身につけるだけで周囲のウイルスを除去できる効果があるかのような表示をしていたのです。

 

しかし、消費者庁が根拠資料の提出を求めたところ、極端に狭い空間で実験を行っており、確かな根拠はないということが判明しました。日常生活の利用環境とは大幅に異なるにも関わらず、このような標榜を行っていたことは悪質であり、消費者に誤った認識を与えていると思われて当然です。 なお、5社の社名は公表されていません。


「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」のちがい

粗悪品に騙されないようにするためにも、自分の身は自分で守れるようにしておきたいものです。 そこで最後に、「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」のちがいについてまとめておきます。それらのちがいを知ることで、適切な表現のもと広告PRをしている企業・製品かどうか判断できるようにしましょう。

「医薬品」

医薬品とは、人または動物の疾病の診断、治療または予防に使用されることが目的とされている薬のことです。配合されている有効成分は、厚生労働省より効果が認められたものに限ります。病院などで処方されるもの(医療用医薬品)もあれば、ドラックストアなどで購入することができるもの(OTC医薬品)もあります。

「医薬部外品」

医薬部外品とは、人体に対する作用が緩和なもので、厚生労働省が許可した効果・効能に有効な成分が、一定の濃度で配合されています。その効果・効能とは、<吐き気やその他の不快感または口臭若しくは体臭の防止><あせも・ただれ等の防止><脱毛の防止・育毛または除毛>というように、治療というより防止や衛生が主目的です。

なお、薬用化粧品は医薬部外品として認められている化粧品で、「日焼けによるしみ・そばかすを防ぐ」や「肌荒れ・荒れ性」などを標榜することが可能です。

「一般化粧品」

一般化粧品とは、医薬部外品と比較してさらに効果・効能が緩和で、美化する・清潔にする・健やかに保つなどを主目的にしている化粧品です。一般化粧品は効能の範囲が制限されているため、パッケージや広告PRには細心の注意を払う必要があります。

 

上記の分類の見分け方についてですが、「医薬品」「医薬部外品」は必ずその表記がパッケージなどにあるはずです。つまり、「医薬品」「医薬部外品」という表記がないものは、効果・効能が緩和な「一般化粧品」もしくはどれにも属さない「雑貨」扱いの製品ということになります。

 

 

これから体に使用する製品を購入する際は、過度な効果・効能を謳っていないか?という視点をもって、消費者に対して誠実な商品かどうかの見極めを行いましょう。